変化する日本人の身体－明治時代から現代まで

摘要

日本に住む人々の体格や体形は縄文時代から現代までの間に変化してきたが，明治時代以後の百数十年間における変化は，それまでになく急激なものであった。 I文時代から明治初頭までの数千年間における成人身長の変化幅が数cm程度であったのに対し1）2），1900年からの約100年間で，20歳男女の平均身長は15cm以上も高くなった。 ここでは，明治時代以後の時代変化の中でとくに目立つ体格の変化と短頭化現象について，日本人がどれだけどのように変化したか，なぜ変化したのかについて概説し，時代変化の今後と社会的インパクトについて述べる。1890年代以後は生きている人を測ったデータがあるため，それ以前よりも詳しく時代変化の様相を知る事ができる。 生体計測は骨格計測よりも誤差が大きいという問題があるが，ここで扱う寸法は生体計測でも誤差が小さく，信頼のおける項目である。