人気銘柄豚の裏にひそむ偽物－鹿児島黒豚にみる人気と諸問題－

摘要

山九六〇年代、日本の高度経済成長と歩みを同じくして、日本の養豚は変貌した。国民の所得水準の上昇は、食肉の需要を押し上げ、生産者もそれに答えるべく、生産性優先の飼養形態、産子数、母豚の回転率、飼養日数の短縮を競い合った。 品種についても、ランドレース、ヨークシャーなどの大型挿に人気が集中し、時を同じくして登場した配合餌料、多頭餌養の方法論の確立が、農場の大規模化に拍車をかけ、企業養豚という概念が生まれたのも、この時代からである。 七〇～八〇年代は、供給過剰による豚価低迷という問題を抱えながらも、円高による飼料価格の下落、人規模化によるスケールメリットを享受していた。