竹の鶏飼料利用による放任竹林対策

摘要

竹は古くから日本人の生活の中でさまざまな形で利用され、ータケノコや竹材の生産のための竹林が維持、管理してきました。しかし、20世紀に入ってからはプラスチックなどの登場により竹材の利用は激減し、またタケノコ生産も安価な中国産の輸入の増加により減少しているのが現状です。このため、日本における竹林は管理されず放置されることが多くなり、中でも主にタケノコ用として利用されているモウソゥチタの竹林面積が急増しています。このような管理されなくなつた放任竹林は地盤が脆弱化し、地滑りの原因になると言われ、また生態系や景観への悪影響も懸念されています(写真1)。このため、放任竹林の解消に向けて竹の有効利用法が模索されています。これまで、竹の有効利用の1つとして家畜の飼料化が検討されてきましたが、タケノコの時期を過ぎた竹は木質化するため非常に硬く、飼料として利用するには蒸煮処理などの加工が必要となり、手間がかかるという問題点があります。破砕処理など比較的手間のかからない加工方法もありますが、この場合はトゲ状の鋭い繊維が残りやすく、家畜へ飼料として給与した際には消化器官が損傷する恐れがあります。