トウモロコシ子実飼料主体 サイレージの飼料成分組成、発酵 および栄養価

摘要

圃場生産性の高い飼料用トウモロコシは省力 的な栽培管理が可能な作物であるとともに、牧 草地に比べ、より多くの堆厩肥を還元できる等の メリットを持つ。世界的にみると、トウモロコシ子実の生産量は、4大穀物（米、麦、大豆、トウ モロコシ）の中で最も多く、食用、工業用および飼料用に広く利用されている。我が国では、輸 入トウモロコシ子実が比較的安価で安定的に供給されてきたこともあり、飼料用トウモロコシに開 する研究は、泌乳牛向けの粗飼料として植物体 全体を利用するホールクロップサイレージ（WCS) 向けを中心に、品種開発、栽培技術、利用技 術の検討が進められてきた。このように2000年 前半までは、国内ではトウモロコシ雌穂（写真1) や子実の生産利用技術についての検討がほとん どなされていなかった。しカゝしな力sら、2008年 以降の輸入トウモロコシの価格高騰をきつかけに、畜産経営基盤の安定化に向け、輸入トウモ 口コシの代替となる濃厚飼料資源確保を重要性 が再認識させ、道内では、栄養価が高いトウモ 口コシ雌穂部分の利用に関する研究が開始され た。現在、北海道の水田地帯を中心とした子実 トウモロコシ（乾燥トウモロコシ子実）の生産が、 また、酪農、畑作地帯を中心としたィァコーン（雌穂）サイレージ（ECS)や子実主体サイレージ等 の生産が拡大しつつある。濃厚飼料向けトウモ 口コシの栽培面積は年々増加し、2015年は道 内で約350haとなっている。本稿では、ECSより も栄養価が高く、海外では自家用濃厚飼料とし て、乳肉用牛のみならず中小家畜にも利用され ているトウモロコシ子実主体サイレージの飼料成 分組成、発酵品質および栄養価に関する試験 結果を取りまとめたので、その一部について報 告する。