アミノ酸添加低蛋白質飼料給与技術による 養豚排せつ物管理からの温室効果ガス排出削減

摘要

家畜排せつ物の管理，処理過程から発生する温室効果ガス（GHG)は、国家総排出量の 0.6%、畜産排出の51%に達すると算定され、 削減が求められている。しカゝし、家畜排せつ 物は畜種ゃ飼養形態などによって様々な性状を 呈し、それぞれの処理物の利用目的に合わせ て管理等が行われる。このように、排せつ物の管理条件は多岐にわたるため、排せつ物処 理技術自体の改善によるGHG削減は容易では ない。生産性を損なうことなく排せっされるふ ん尿中の窒素量が削減できれば、温暖化係数 (GWP)の高い一酸化二窒素（N20)排出量を 低減することができる。結晶アミノ酸を添加し た低蛋白質飼料の給与により、増体日量の低 下を招くことなく窒素排せつ量を低減できるこ とがこれまでに報告されている。しかし、その ふん尿処理過程からのGHGが削減されること はまだ確認されておらず、またアミノ酸製造等 低蛋白質飼料給与技術の利用に伴う付帯的な 変化を含めた様々な環境影響の比較は行われ ていない。以上の背景から、肥育豚への低蛋 白質飼料給与技術のGHG削減ポテンシャルを、 実測およびライフサイクルアセスメント（LCA) により評価した。なお、本稿における豚飼養 試験および排せつ物処理試験についての記述 はOsadaら（2011)の、LCAについての記述はOginoら（2013)の文献に基づいており、詳細 はそれぞれの文献を参照されたい。