友好と先端技術が生んだ '高品質肉豚フジキン力'

摘要

静岡県と中国浙江省は、昭和60年に「静 岡県、浙江省農業友好提携協定」を締結して 以来、農業分野におけるさまざまな交流を通 じて相互の理解と友好を深めています。その 中で畜産資源の物的交流としていただいたの が金華豚です。金華豚は世界三大ハムの一 つである金華火腿（金華ハム）の原料として 有名な豚で、静岡県には昭和61年に3頭（雄 1、雌2)と平成7年に8頭（雄2、雌6)の2 度にわたり寄贈されました。それらの子孫は 御殿場金華豚研究会が純粋種として銘柄化 しています。金華豚は肉が軟らかく保水性が高いなど 大変肉質が良い豚ですが、小、中型のため 発育が遅く、皮下や筋間などに脂肪がのりや すいなど、赤肉の生産能力（産肉性）が著し く劣ることが欠点でした。そこで、筆者らは (独）農業生物資源研究所、（社）農林水産 先端技術産業振興センターおよび千葉県、神 奈川県との共同研究で、金華豚とデュロック種の交雑家系を用いたQTL (量的形質遺伝 子座）解析、すなわち肉質に関係している遺 伝子の場所の検索を行いました。3県合わせ て554頭の豚について形質調査（枝肉検査、 肉質検査）と遺伝子解析（マイクロサテライト マーカーによるタイピング）を行った結果、肉 質や脂肪品質などに関するQTLを67個も検 出すること力できました。