採卵養鶏における開放横型ロータリー撹拌式発酵槽を用いた鶏糞処理の方法について（2): 2011年度と2012年度の周年変化の比較

摘要

われわれの先行研究13)において，研究対象とした 開放横型ロータリー撹拌式発酵槽(以下，発酵槽と表記）における測定は，2011年4月から2012年3 月までの1年間にわたる記録であつた。具体的には， 同発酵槽におレ、て，上述の期間，毎月1回の頻度で， 終日，撹拌槽内における鶏糞の水分含量，発酵分解中 の鶏糞の温度，ならびに鶏棄から発生するアンモニア (以下，NH_3と略記)ガスの濃度を測定し，データを取 り続けたものである。その間の試行錯誤の結果から， (有)サントクファーム松尾農場に適する発酵槽の運 転のやり方が，徐々に分かってきた)。松尾農場に導 入されている発酵槽は，開放横型のロータリー撹拌式 であり，畜産経営における家畜糞処理では比較的多く 採用されているものであった3'7'9'19。ところが,同じ 開放横型でロータリー撹拌式の発酵槽であっても，そ の運転方法は，マニュアル化できるような単純なもの ではないことが判明した14)。一言でいえば，発酵中の 鶏糞の温度や水分含量の管理のやり方一つでも，出来 上がる発酵鶏糞の品質は，大きく異なってくるのであ る。しかも，わが国の気候は，いわゆる四季があり， 季節ごとに発酵槽を取りまく環境，すなわち温湿度が かなり変化するため，発酵槽内の環境(微気象）もそれ よって少なからず影響を受けるようである。