家畜識別及び卜レーサビリティ制度の歴史と役割（1)

摘要

家畜を識別し追跡できるようにする制度は，世界各 国で家畜伝染病対策等を目的として導入されている。我が国では，2001年9月10日に最初のBSE患畜が 発見されたことを契機として，2003年12月に牛の個 体識別のための情報の管,理及び伝達に関する特別措 置法（平成15年法律第72号）が施行され，牛個繊 別制度（牛及び牛肉のトレ一サビリティ制度）が開始 された。本法律の目的は，BSEのまん延防止及び牛肉 に係る個体識別情報の，であるが，牛個体識別台帳 に蓄積された情報はこれら目的にとどまらず，ロ蹄疫 等他の家畜疾病への対応，食品衛生上の基準に違反す る牛肉の効率的な回収，補助事業や家畜共済の対象と なる牛の確認等の様々な目的に活用されており，今や 本制度は我が国畜産の振興及び消費者の利益の増進 にとつてなくてはならない存在となっている。