鶏の卵殻色に関する研究（2) ァロウカナ交雑種の卵殻色素について

摘要

鶏のァロウカナ（アローカナ）種は，チリ北部の アラウカ地方で作出されたため，品種名もそれに 因んでいる。ところが，原産国のチリでは，ァロウカナ種はAraucana (ァロウカナ）とは呼ばれておらず， Gallina Mapuche(マプーチェ族のめんどり，スペイン 語）と称される。し力も，Gallina Mapucheには8內 種ほどが知られており，その羽装（羽根の色など）も さまざまである（口絵1(A)および口絵1(C)を参照)。 鶏を含むヨーロッパの家禽類は，15世紀にスペイン 人によってアメリカ大陸に持ち込まれ，その後，特 に南米の在来鶏種と交雑していったものと推測され ている。現存する鶏のミトコンドリアDNAを調べた 研究では，ァロウカナ種のようなチリを原産とする 鶏の遺伝子は，ヨーロッパの鶏種のそれとよく一致 することが報告されている5)。我国で見られるァロウ 力ナ鶏の羽根の色は，欧州家禽図鑑に紹介されてい るものが多いようである"。この図鑑では，代表的な ァロウカナ種の羽根の色をラベンダーと記しているが，ラベンダーとは青みがかった薄紫色のことを指 す。しかし，実際には，薄紫色などではなく，むしろ 白つぼい，灰白色の羽根の色と表現した方が，適切 であるかもしれない（口絵1(C)を参照）。その他，ァ ロウカナ種の特徴として，鶏卵の蛋白質含量が高く， コレステロール値が低いという報告がある15)。一方で， ァロウ力ナ種の鶏卵卵黄のコレステロール値が低レヽ という報告には，異論もあるようである4)。また， ァロウカナ種の鶏卵は，卵重に対する卵黄重の比率 が高く，卵殻も厚いとされている。