肉用繁殖雌牛経営における国産自給飼料の利活用の変遷と今後の展望（1）

摘要

わが国の畜産は，小規模な経営形態で副業的に営まれていた時代には，粗飼料のほとんどすべてが国内で自給され，さらに屑米、砕米，大麦や米ぬかなどの濃厚飼料の一部も自給されていた。しかしその後，土地基盤の拡大を伴わない飼養頭数の多頭化と高生産および高品質な畜産物の追求の結果，わが国の畜産は世界に類をみない土地と切り離された加工型畜産の性格をもつに至った。畜産は，本来，日本の国土に依拠し，土一作物一家畜を結ぶ有機的な循環によって拡大すべきものであったが，わが国では，大量の輸入飼料穀物に大きく依存した，極めて不安定で集約的な加工型畜産として進められてきた。