熱帯アメリカのアグロパス．トラルシステムの事例（その3）－ブラジルのセラード地帯におけるマメ科牧草の多目的利用－

摘要

本誌では，マメ科牧草の多目的利用について，その成果を報告していくが，筆者がパナマにおいて取り扱ってきたArachis （Arachis pintoi）の導入効果についても触れていく。 ·丹疲互椹`ド地帯は，ここ30年，急速に，ブラジルにおいては重要な農業生産基地として大きく転換している。 この背景には，このセラード地帯におけるインフラストラクチャーの改善に伴う大量投資，土壌ならびに気候条件に適用可能な作物や品種の選択，土壌管理技術の多大なる発展によるところである。 この地帯での農業活性の増大は，豊かさや雇用の増加に対して大きなインパクトを与えていた。 しかし，マイナスのインパクトとして，一年生作物の栽培による土壌の固結，侵食などを引き起こすことが挙げられる（Ayarza etal., S.f.）。 さらに，病害虫や雑草防除のための化学農薬の消費も増大し，環境に与える影響も無視できない。 それと同時に，雑草や害虫によって牧草生産が損なわれ，とくに，牧草播種地帯の50％以上は，確実に牧草の衰退が目立ってきているというのである。