農家ができる簡単、スピーディ一な排水改良技術の開発

摘要

我が国の農業における重要な課題の一つは、 輸入依存度の高い大豆や小麦、野菜等の畑作物 の生産力強化と高品質化を実現することです。 しかし、湿潤気候に加え、最近の豪雨の頻度が 増し、生産量が激減するなどの被害が多発して います。畑作物の生産力強化を図るには、農地 の排水改良が不可欠です。我が国では、農地の 排水改良として暗渠の整備が進められてきまし たが、公共事業などにより整備が進められてい ますが、整備できる面積には限界があります。 また、暗渠の老朽化と性能低下により排水性に 劣る農地は依然として多いのが現状です。農家 自身が農地の排水性を良好にする一般的な方法 には、補助暗渠の弾丸暗渠や心土破砕、モミガ ラ心破などがあります。弾丸暗渠や心土破砕は、 無資材で成形された空洞や亀裂を通して排水す るため耐久性に劣る点と施工深さが浅く、圃場 外へ暗渠のように排水を排除することができま せん。また、モミガラ疎水材を溝状に埋設する モミガラ心破は効果の持続性が長いが、疎水材 となるモミガラの収集、運搬、投入と施工に人 手と手間が必要で、いずれも欠点がある。こう した背景をうけて、生産現場からは、簡単かつ 安価で、資材を使用した暗渠と同様の効果のあ る、農家自身が迅速、簡単に施工できる排水改良の技術が求められていた。