マルチ栽培における土壌水分消費と地下水への窒素負荷

摘要

近年、農作物の栽培技術は、プラスチックフィルムを用いたハウス栽培、マルチ栽培、トンネル栽培等の普及や各種マイクロ潅漑装置の導入により大きく進歩している。 これらの技術によって、季節にかかわらず、消費者が好む形、質の作物を生産することが可能となり、作物の季節性より市場性が優先されるようになってきている。 こうした栽培技術の変化は作物の消費水量にも変化をもたらしている。マルチ栽培ではプラスチックフィルムの保湿効果、保水効果により、作物生育とって好適な土壌環境をつくることを目的とするが、土壌面蒸発量が大きく抑制されるため節水効果が期待できる。しかし一方では、高品質を求めるために肥料多用の傾向があり、硝酸態窒素による地下水汚染等の環境への影響が問題となってきている。