大手生産者が4月に続き7月も値上げ表明--中国消費増と供給寡占で「鉄鉱石化」へ懸念強まる

摘要

耐火物やセラミックス原料となるジルコンは，中国市場の拡大で世界需要が回復している一方，大手生産者が供給の8割近くを占める寡占市場であるため，極端な売り手市場となっている。大手3社は，昨年第2四半期（4～6月）に10％程度の値上げを実施したが，世界経済の景気低迷を受け，出荷量がその後急速に悪化し，昨年の世界需要は前年比25％はどの落込みとなった。だが，大手生産者が2割減産に踏切ることで需給バランスを維持し，鉱石価格の値下りを防いだ。昨年末に世界最大の市場となった中国の需要が回復していくと，需給タイト感が強まり，大手3社は通貨高や原油高などを理由に値上げを再開し始めた。今年第2四半期に50ドル／tの値上げを実施し，第3四半期（7～9月）にも同100ドルの値上げを表明している。今後も大手生産者が四半期ごとの価格改定で値上げを打出す可能性もあり，「鉄鉱石と同じ状態に陥る」との懸念も強まっている。