世界最高の耐熱グレード磁石の新製法を開発

摘要

信越化学工業は，「粒界拡散二合金法」と称する新製法を用いてNd－Fe-B系焼結磁石（以下ネオジム磁石）の耐磁グレードとして世界最高の特性を実現したと先月24日に発表した。 磁石の耐熱性を高めることに直結する保磁力を，他の磁気特性を犠牲にすることなく30％以上増大させることに成功した。 保磁力を向上させるために一般にジスプロシウム，テルビウムといったレアアース元素の中でも資源的に制約のある，高コストの材料を添加する手法が用いられている。 しかし，添加量が一定量を超えると磁力に関わる残留磁束密度の値が下がってしまい，高耐熱性と高性能化の両立が難しかった。 今回開発した新製法は，同社が独自に培ってきた二合金法（特定組成の合金を2種類混合して焼結する方法）をさらに発展させたもの。 磁石の結晶組織の粒界にジスプロシウムなどの元素を集中させることで，残留磁束密度を維持したまま保磁力を30％以上高めた。 同技術は日永欧米などの世界各国に特許出癖済み。