従属な2×2分割表間での等オッズ比性仮説に対する尤度比検定と従属性の影響

摘要

たとえば，自動販売機で正貨と偽貨を判定するユニットを考えよう。 このユニットに対する入力を貨幣の真の状態，出力を判定状態とすれば，いずれの状態も正または偽の2値で表されるので，このユニットは2値入出力系とみなせる。 このとき判定ミスには，正貨を偽貨と誤判定する第1種の誤りと，偽貨を正貨と誤判定する第2種の誤りがあり，これらが通常トレードオフの関係にあるので，2種類の誤りを考慮した評価測度が望まれる。 品質工学では，この点を考慮した2値入出力系のSN比が「標準SN比」の名で提案されている（田口［6］24.2節，田口，小西［7〕3.3節）。 この標準SN比は2×2分割表でのオッズ比と等価であることが知られている（宮川[4］4.4節）。 いま，2つの貨幣判別ユニットA_1とA_2があり，これらの性能比較のために次のような評価試験を行ったとする．100個の正貨と100個の偽貸を用意し，それぞれを無作為に50個ずつに分けて,2つのユニットに割り付ける。 各ユニットで100個（正貨50個と偽貨50個）の試料に対して，正偽の判定をした結果を表·1のようにまとめる。 判定ミスには上述の2種類があるから，表·1のデータからA_1とA_2の合理的な優劣比較をすることは決して自明ではなく，標準SN比の意義ほ大きい。