スギ、ヒノキ花粉症対策品種の効果的な普及に向けた取組の現状と対策

摘要

スギ、ヒノキの花粉症は.有症率が増加傾 向にあり.近年では以前は少なかった低年齢 の患者の割合が増加するなど，依然として大 きな社会問題になっている。その根本的な対 策として，品種改良による対策が検討され， すでに花粉の少ないスギ，ヒノキ，無花粉ス ギが実用化されている。こうした花粉症対策 品種の種子やさし穂の生産は主に都道府県， 苗木の生産は民間の苗木生産者が担ってい る。しかしその種子の生産にあたっては，採 種園という種子生産用の低木仕立ての種子生 産林を造成している力、花粉症対策品種はそ もそも花粉の生産が少ないため，目的である 園内の交配ではなく，外来花粉の影響を受け やすい。また花粉症対策品種は，生産する製 品=木材に関係しない形質であり，生産者に 対するメリットがなく普及しにくい側面があ る。特にヒノキの花粉対策品種の生産には. 着花促進技術など課題が多い。こうした課題 を解決するため，採種園の外来花粉対策，ヒ ノキの着花促進とさし木のマニュアル化，花 粉症対策品種の材質試験等を実施した。