新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 「花粉症対策ヒノキ、スギ品種の普及拡大技術開発と雄性不稔品種開発」がスタート

摘要

スギ.ヒノキ花粉症は春季のアレルギー疾患で，大 きな社会問題になっています。スギ花粉症の有症率は東京都の2006年の調査で約28.1%,10年前の1996 年は19.4%であり，最初に実施された1984年の調査 では6.1%に過ぎず，22年間で大幅に増加しています。 またヒノキについては，スギとの共通抗原性が認めら れ，スギ花粉症患者の7割程度がヒノキ花粉症も併発 しているとされ，スギ同様の対策が求められています。 近年，ヒノキを植栽できない多雪地域等を除いては， 材価の高いヒノキを植林する傾向が強く，ヒノキの植 栽面積がスギを上回る地域も多くなつています。また， スギょりも造林のピーク力《遅いため若齢の林も多く， このため，本格的に花粉を飛散するとされる30年生 以上の林が今後増加することは確実です。実際にヒノ キの花粉飛散量がスギを上回る地域も出てきています。本研究の参画機関の所属する地域は首都圏を抱え， 都市住民の割合が高く，スギ'ヒノキ花粉症に対する 関心及びニーズが極めて高い地域です。地域的にも実 生苗による造林地域である東海から関東地域は，花粉 の飛散量自体が多く ，その発生源での対策は不可欠で あり，早急な対策が必要です。