消費の回復が足踏みしている背景

摘要

2012年まで日本経済に蔓延していた閉塞感はアベノミクスを契機に和らぎ、消費者マインドの改善とともに消費は持ち直した。しかし、14年4月の消費税率引き上げ後に消費は深く落ち込み、7四半期経過した10～12月期時点でも勢いが戻らず、アベノミクス前の水準を下回っている。この消費不振の背景には、天候不順や金融市場の混乱などの短期的要因のほか、構造的要因が存在する。まず、短期的要因の消費への影響について考える。図表1は、実質消費の伸びを雇用者報酬（マクロでみた賃金の総額）と消費性向（所得を消費にどれだけ回したかを表す割合）に分解したものである。15年に入り雇用者報酬は雇用拡大やベースアップにより小幅ながら増加しているが、消費性向については、短期的要因が頻発したことを受けて低下しており、これが消費を押し下げていることがわかる。