冠動脈形成術における薬物放出ステントの現状と展望

摘要

1977年の臨床導入以来，経皮的冠動脈形成術の最大のアキレス臆であった慢性期再狭窄の問題が、薬物放出ステントによ、つて解決されようとしている。 血管形成術後の再狭窄は、急性期弾性リコイル，慢性期収縮性リモデリング、および新生内膜増殖がその主たるメカニズムであるが、従来のステントが機械的特性として前2者を克服したものの，内膜増殖は全身投与による補助的薬物治療を施しても完全には克服されず、臨床的に約20%の症例に内膜増殖による再狭窄がみられていた。 特に小血管や糖尿病合併症例などのサブグループでは再狭窄率は50%にもおよび，難治性の再狭窄を繰り返し臨床上および医療経済上大きな問題となっていた。