顕微質量分析装置による生体材料を用いたMSイメージング法の試み

摘要

【背景·目的】Mass spectrometry Imaging（MSI）解析という組織切片から生体分子を直接的にイオン化させ検出させる新たなマススペクトル解析法は1997年にCaprioliらによって報告されてから様々な進展が見られている。組織切片は分子の位置情報を有しているという特徴があり、これを検出することにより、バイオマーカー探索や新薬の薬物動態研究が行われている。現在、MSI解析のサンプルは凍結組織切片を用いて行われているのが主流である。我々は、レトロスペクティブに研究をするために、病理診断でも汎用性のあるパラフィン組織切片に着目した。これまでのパラフィン組織切片の解析方法は、免疫組織化学的手法、組織形態学的手法、分子生物学的手法を用いての解析があげられる。しかし、いずれにおいてもタンパク質を位置情報も含めて、直接的に解析する方法ではない。我々は、癌組織パラフィン切片を適切な前処理をすることで、バイオマーカー探索や標的分子の変異部位の同定にケミカルプリンター（CHIP-1000）/Matrix－Assisted Laser Desorption/Ionization Time－of-flightMass Spectrometry（MALDI－TOF MS）法が応用可能と考えた。