X線顕微鏡の発展と私の関わり

摘要

顕微鏡の分解能が光の波長で制限され，波長の約半分にしかならないことを理論的に示したのはドイツの光学者E. Abbeで，1970年のことである。 それまでレンズを精密に研磨すればもっともっと細かいのもが見えると当時の人は思っていた。 Abbe自身も発見してみていたく失望したという［D. Gabor "The Electron Microscope" Electronic Engineering出版社1948，Londonによる］。 一方，1895年11月にRontgenが指輪を着けた夫人の手の有名なX線写真を発表した。 当時その正体は不明で，放射線の新種「X線」といわれたが，この報告は驚くべき速さで世界に伝えられ，我が国でも数カ所で実験が行われた。