収差補正機能付HD-2700の特長と応用

摘要

産業界では材料機能向上をめざし，様々な組成や構造を持つ材料の開発が進められている。特に21世紀に入り，物質をナノメートルの領域において自在に制御するナノテクノロジー技術が活発化したため，原子分解能の構造解析ニーズが高まった。このようなニーズに対応するため，ドイツCEOS社との共同開発により，球面収差補正装置（Csコレクター）を搭載したHD-2700形走査透過電子顕微鏡（STEM：Scanning transmission electron micro-scope）（以下HD-2700）を開発した（図1）。Csコレクターは，大きな収束角度で微小な電子線プローブを実現できるため，高分解能観察と高感度分析が可能である。