猫の形質細胞性肢皮膚炎

摘要

猫形質細胞性肢皮膚炎は猫で稀に発生がみられる皮膚疾患である。この疾患の特徴は，柔らかく，腫脹じ，退色し，そして時には潰瘍状の址庶がみられることで，これらの病変を除くと猫は健康である。原因は不明であるが形質細胞の浸潤が認められることおよび免疫調節治療による効果が現れることから免疫介在性の病理発生が示唆されている。これまでに行われた病変組織における感染性微生物の検査結果は陰性であるが，FIVとの関連性に関してはその可能性は否定されていない。臨床像はほとんどの症例で肉眼的に特徴的な様相が認められるが，確定診断を行うためには病理組織検査が必要となる。治療法の選択肢としては内科処置と外科処置があるが，自然治癒も報告されていることから，動物が臨床的に無症状の場合は治療を行わないことも選択肢の1つである。