米国防総省「QDR 2014」を読んで: リバランスの表と裏

摘要

米国防総省は3月4日，QDR (4年ごとの国防計画の見直し）2014年版を公表した。最大のポイントは，対テロ戦争の終結を区切リに，中国の台頭を念頭に置いたアジア太平洋へのリバランスを続けることを再確認した点である。陸軍を大幅に圧縮しつつ，海空の戦力に資源を割く姿勢を示した。他方で日本など同盟国や友好国による補完への期待もにじませている。ただシリア内戦，ロシアのウクライナ介入など，国際惰勢はアメリカのにらみが効かない事態が続いている。原因としてオバマ政権の「不介入」主義を指摘する声も少なくない。米軍は「より小規模で能力の高い軍」（へーゲル国防長官）を目指すという。だがQDRは2つの大規模紛争に対処できる態勢からの後退を認めた。厳しい財政事情から，空母を1隻削減し10隻体制にする可能性にも言及されるようになった。