新型コロナウィルスで影響を受ける中南米の設備拡張プロジェクト

摘要

新型コロナウイルスの拡散が中南米の紙パルプ設備拡張計画に影響を及ぼし始めた。低成長やマイナス成長が常態化している先進地域とは対照的に、中南米はアジアと並んで能カ増強投資が今も活発に行われている。しかも中南米のプロジェクトはアジアなどに比べると総じて規模が大きく、現地に運び込まれるパーツの数や一度に動員される作業労働者の数も半端ではない。しかしウィルスの拡散を防ぐために制限されている物流や、感染防止のために徹底されている労働者の健康管理手順によって、拡張プロジェクトはそれぞれの段階に応じた影響を受けている。具体的にはクラビンのピューマⅡ（ブラジル）、ウエストロックのトレス•バラス（ブラジル）、UPMのパソ•デ•ロス•トロス（ウルグアイ）、アラウコのMAPA（チリ）といった拡張計画がある。このうちクラビンとウエストロックはクラフトライナー設備、UPMとアラウコはユーカリBKP設備。クラビンの投資計画は年産45万tのマシン新設で、2021年4〜6月期の稼働開始を見込んでいる。ウエストロックはクラフトライナーの年産能カを現行の47万tから68万tまで引き上げる工事を進めていたが、今は作業を中断している。そして現在まさに建設のピークを迎えていたのがアラウコのMAPAプロジェクトで、2021年4〜6月期までに年産は6万tのユーカリBKPラインを新設しょうとしている。現在、現地では約8,000名の労働者が作業に携わつている。さらにウルグアイではUPMが少なくとも2週間、建設工事を中断すると発表した。ユーカリBKP年産210万tのこのプロジェクトは、2022年後半の稼働を目指している。ブラジルではこのほか、ブラセルとLDセルロースによる2件のDPプロジェクトが進行中だ。