英のEU離脱とフォンデアライエン欧州委員会誕生：重みを増す欧州議会

摘要

2019年の本誌EU特集号で.欧州議会の成り立ちからその機能，欧州政党，院内会派の動向を分析した。当時は，原稿の締め切りの関係で5月の欧州議会選挙結果までは補足することができなかった。しかもブレグジッ卜も不明なままであった。1年後.欧州議会の選挙結果が出て，フォンデァライエン（VDL)新委員会も成立した。英国もEUを離脱した。これらの新たな状況を踏まえ，英によるEU離脱の意味を政治学的に分析し，その得失をそれぞれについて，整理した。またEU政治は英の離脱で終わるものではない。「英なきEU」がすでに始まっている。本稿では，欧州委員会の成立過程にも視座を向け，その変化を分析した。特に，欧州委員会の成立では，筆頭候補制（spitzenkandidaten)が今回どのような経緯を迪つたのかを分析した。結論的には，欧州議会では反EU勢力の議会活動は限定的で，欧州委員会は制度改革を実践しつつ，グリーンディールを掲げ，親EUの議会内4会派が新委員会を支えていく状況になったことを指摘した。