浄水発生土の芝緑化地の基盤土としての利用

摘要

浄水場より発生する浄水発生土の新たな利用方法として，ゴルフ場等芝緑化地の基盤土としての利用可能性について試験評価した。この用途には，耐水性および耐踏圧性のある粒状の浄水発生土が求められる。本研究では，ポリ塩化アルミニウムで凝集し，天日乾燥された浄水発生土の破砕粒状物を用いて，一軸圧縮試験による耐踏圧性，保水•透水性，植物栽培試験による植物生育への影響の評価を行なった。一軸圧縮試験の結果，圧縮力の増加とともに浄水発生土粒は圧壊することなく締め固まり，湿潤状態で3～5mmおよび5～9mmの粒径を，それぞれ0.62g/cm~3および0.67g/cm~3のかさ密度に締め固めれば，2.5kgf/cm~2(芝整備車両の走行を想定)の耐踏圧性をもつことが示された。浄水発生土の圃場容水量は，3～5mmおよび5～9mmそれぞれが，39.5ml/100mlおよび34.3ml/100mlで，植物栽培試験に供試したマサ土と同等以上であった。飽和透水係数はいずれの粒径も0.217cm/s以上であり，マサ土の8倍以上の透水性を有していた。植物栽培試験の結果，基盤土利用を想定した，表層3cmにマサ土，下層6cmに浄水発生土を充塡した処理区では，比較対象の化学肥料を施用したマサ土と同等の生育を示した。基盤土利用では，浄水発生土の層は，表層の植物根圏が浄水発生土の層とは分けられており，植物生育に影響しないことが示された。