二液調質による下水汚泥脱水ケーキの低含水化に関する基礎的研究

摘要

本研究では，下水の消化汚泥を対象とし，無機凝集剤後添加の二液調質法における薬剤添加条件の最適化について検討した。各種10種類の高分子凝集剤において，消化汚泥に対してカチオン系高分子凝集剤（アクリル酸ジメチルアミノエチル，分子量700万）が最もすぐれた凝集性を示した。この高分子凝集剤は，中性付近からpH4までの広い範囲で良好な凝集作用を発揮する。二液調質法における無機凝集剤としてポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)を利用することによって，無機凝集剤を利用しない一液調質法よりも，脱水ケーキの含水率が8%低下した。ポリ鉄後添加の二液調質法は，脱水ケーキの含水率を効果的に低減できることが確認された。また，ポリ鉄添加·混合プロセスにおける調質汚泥のpHは，脱水性に影響を及ぼす重要な因子であり，脱水後の脱離液のpHが4付近となるように調質汚泥を調整することによって，pH未調整よりも4%の脱水率低減の効果があった。そこで，脱水脱離液のpHを4付近に調整することを目的として，ポリ鉄原液と強酸の混合溶液を作成し通常のポリ鉄原液と比較した結果，ポリ鉄酸混合溶液を用いた脱水ケーキの脱水率が有意に低くなることが確認された。ポリ鉄と強酸を混合して二液調質に使用することによって，汚泥の脱水性の向上が期待できる。