地球温暖化による影響と適応策

摘要

地球温暖化の進行により世界各地で豪雨，台風，熱波などの異常気象が多発している。気候変動に関する最新の科学的知見を取りまとめたIPCC第5次評価報告書は，人為的な地球温暖化がほぼ確実なこと，厳しい対策を取らない場合，工業化前と比べて4℃程度まで気温が上昇すると予測している。影響面では，すでに顕在化している影響への対応として適応策が実施されているが，不十分である。C0P21では2020年以降の地球温暖化対策の枠組みが検討され，2℃目標達成のために各国の削減策への取組み強化と影響への適応計画の作成などを盛り込んだパリ協定に世界各国が合意した。パリ協定は2016年11月4日に発効し，今後各国が本格的に地球温暖化対策に取組むことが期待される。わが国においても，パリ協定を受けて地球温暖化対策推進法の改正や地球温暖化対策計画の策定により本格的な対応が始まった。また政府の適応計画も策定され，今後は自治体レベルでの影響および適応策が緩和策とともに実施されることになる。地球温暖化対策の産官学民を挙げての取組み強化が必要となっている。