下水処理分野での膜処理技術の活用

摘要

本稿では，下水処理で使用される膜分離活性汚泥法（MBR)を対象に，使用されるMBRプロセス，開発•導入の経緯，現行の技術開発状況について概説する。これまでに国内の下水処理分野で導入されたMBRの多くは処理能力10,000m~3/d以下の小規模下水処理場である。これらは日本下水道事業団の内部基準により施設•設備の構成•フロー •仕様等が実質的に標準化されており，循環式硝化脱窒法の好気タンクに膜ユニットを浸潰させる浸漬型（一体型）MBRである。下水処理用MBRに係る本格的な検討が始まって20年以上が経過し，導入施設数も20個所を超えているが，依然として省エネ化が大きな課題である。最新の実証試験実績によれば，消費電力量原単位が0.24〜0.39kWh/m~3と従来の高度処理と同等レベルで運転可能なMBRが現実的となっている他，さらなる省エネ化や超高度処理化に向けた検討が進められている。