水道におけるフルボ酸およびフルボ酸様有機物の蛍光分析による評価

摘要

種々の環境水および水道水、さらに全国の代表的な7ケ所の浄水場内の処理工程水の蛍光強度を測定することにより、蛍光強度の水質管理指標としての適用性について考察した。分析した結果、環境水、水道水の蛍光強度は溶存有機物の多寡を良く反映した値で、湖沼水および濠水は溶存有機炭素（DOC)との相関において一般的な河川水とは異なる傾向を示した。浄水処理工程水は処理毎に特徴的な蛍光強度の減少が認められた。これは原水中のフルボ酸ゃフルボ酸様有機物の凝集沈澱処理による除去だけでなく、塩素による酸化反応等の化学変化をも反映しているためと考えられる。さらに、蛍光強度の変動はDOCの変動よりも感度良く検出されていた。河川水を原水とする浄水場で原水の蛍光強度の日間変動を調査したところ、蛍光強度の変動は大きく、また蛍光スぺクトルのピーク位置も変動した。これは自然由来のフルボ酸だけでなく上流河川中に排出される下排水由来のフルボ酸様有機物、蛍光増白剤、紫外線吸収剤や、養豚、養鶏など畜産廃水由来の溶存物質の影響によると推論され、このことから蛍光分析は原水水質の変動をより高感度に監視するために利用できると考えられた。