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摘要

1990年代までは、水中の病原微生物については、「塩素を入れて、大腸菌の不在を確認=安全」という認識が一般的でしたが、クリプトスポリジウムやウイルスなどに対する新たなリスク管理が水道にも求められています。本研究では、水中ウイルスを対象にその濃縮•定量方法の確立、浄水処理における除去特性や不活化メカニズムの解明に取り組んでいます。培養不可能なウイルスが多く、通常のPCRでは感染力のあるウイルスも不活化されたウイルスも同時に検出してしまうという課題があります。そこで、ウイルスを取り囲む殻状のタンパクであるカプシドに着目し、塩素やオゾンによるその損傷の程度を識別することで、より正確なリスク評価を行うことを目指しています。また、ウイルスの宿主特異性に着目し、特定の起源(家畜、ヒトなど)に由来するウイルスの挙動を詳しく追跡することで、起源別の糞便汚染の実態を明らかにする研究にも取り組んでいます。