覆エコンクリートのひび割れゼロを目指す: 前田覆工マルチ工法

摘要

1．はじめに一般に，トンネルの覆エコンクリートには力学的機能ではなく，その供用性が要求されてきたこともあり「化粧巻き」と称される時期もあった．このためコストの側面から，十分な締固めが難しい鉄筋区間やクラウン部コンクリートに，やむを得ずコンクリートを流動させて打ち込むことを容認してきた．しかし，平成11年に山陽新幹線福岡トンネルの覆エコンクリート塊が落下して，走行中の列車を直撃するという衝撃的な事故の発生をきっかけに，トンネルの安全性に対する社会的な懸念が増大しており，その対応は急務を要する．キーワード：覆工マルチ工法，高品質覆工，耐久性の向上，ひび割れ発生率，出来栄え