地すべりの誘発が懸念される脆弱な曰南層群の掘削: 東九州自動車道 芳ノ元トンネル南工区

摘要

東九州自動車道は，福岡県北九州市を起点とし,大分県大分市，宮崎県宮崎市などを経由し，鹿児島県鹿児島市に至る，延長約436kmの高速自動車国道である.芳ノ元トンネル（以下「本トンネル」）は，そのうちの清武〜北郷区間，宮崎県宮崎市大字鏡洲に位置する延長1,880.0mのトンネルである.トンネル周辺域には日南層群が分布し，近隣のトンネルエ区では，切羽の崩壊や地すべりの誘発などが発生し，難工事となる事例が多くみられてぃた.本トンネルの工事は2007(平成19)年10月に発注され，当初は起点側（北側）からのみの掘削予定であったが，想定以上の大きな地山荷重による支保の変形，可燃性ガス，地すべりなどの対策検討に時間を要する結果となり，2015(平成27)年3月に別途発注業務として終点側(南側）からトンネル延長1,880.0mのうち，581.4mを新設する工事(芳ノ元トンネル南新設エ朝が発注された.