生体の熱伝導率，熱拡散率の非侵襲測定法（伝熱モデルと測定精度の検討）

摘要

凍結手術やハイパーサーミアは組織を低温あるいは高温にする医療技術であり，従来の外科的手術よりはるかに低侵襲で，今後適用例が増加すると考えられる．しかし，これらの方法の治療精度を上げるためには，術中のモニタだけでなく，治療部位に対する術前のプロトコルの決定（どこからどう冷やしてどこまで凍らすか，あるいはどう暖めるか）が重要になる．その手段としては，組織や臓器の凍結過程や加熱過程のシミュレーションが有効であると考えられる．しかし，このシミュレーション結果の信頼性は，生体組織内の熱輸送モデルのみならず熱物性値そのものに大きく依存する．