2007年における愛知県豊川下流域のシジミ属(ャマトシジミ，マシジミ，タイワンシジミ)の分布と同一環境における殻形態の比較

摘要

愛知県豊川下流域における2007年のシジミ属(ャマトシジミ，マシジミ，タイワンシジミ）の分布と個体数を豊橋市自然史博物館収蔵の試料を基に調査した.その結果，1997年の貝類相調査では報告されていなかつた外来種タイワンシジミが中鹹水域に侵入•繁殖し，優占種となっている地点があること，そして汽水性のャマトシジミの生息にも影響を及ぼしている可能性が示唆された.次に同試料の内，ャマトシジミ，マシジミ，タイワンシジミの混生が報告された地点における殻成長（殻艮，殻高，殻幅）を種間で比較した.但し，マシジミとタイワンシジミは殻の外形が酷似していることに加え，殻色や表面彫刻などでも判別困難なため，本研究では両種の区別をせず，一括して"マシジミ又はタイワンシジミ”として扱った.共分散分析の結果，ャマトシジミの殻成長は"マシジミ又はタイワンシジミ"に比べて殻幅方向の成長が小さかった（P<0.05).また同じく各種が混生する地点における殻形態を用いた種判別の有効性を評価するため，Tukey-Kramer法によって，殻高/殻長，殻幅/殻長，殻幅/殻高の平均値を種間で比較した.その結果，ャマトシジミは殻幅/殻長及び殻幅/殻高によって"マシジミ又はタイワンシジミ"から判別可能であることが示唆された（P<0.05).