信号品質を保つディジタル化技術：ノイズシェービング量子化—Ⅲ:制御のための動的量子化器(1)

摘要

第3回目となる本稿では，制御分野のノイズシェーピング量子化器「最適動的量子化器」を解説する. 制御分野における多くの制御系設計法(古典·現代制御)においては，制御系に含まれる信号が「連続値」であることを前提としている.しかしながら，現実の世界では，信号が「離散値」に制約されることがある.たとえば，ON/OFFで駆動される多段階型アクチュエータや通信容量の制限されたネットワーク通信路，有限個の信号値しか出力できないディジタル計算機が制御系の構成要素となる場合には，離散値信号を陽に扱う必要が生じる.そのような離散値制約が課せられた制御系の設計において，連続値信号を離散値信号に変換する「動的量子化器」が重要な役割を演じる[1-3].