測定手法の違いによる検知閾値への影響

摘要

嗅覚の役割には、ガス漏れに気づくことや腐った食べ物の判別などの危険察知がある。また、アルツハイマー型認知症などの病気の初期症状のひとつとして嗅覚の衰えが現れることから、嗅覚検査を実施することでこれらの病気の早期発見に繋がる可能性もある。そのため、嗅覚検査を実施して自分の嗅覚状態を日常的に把握することは重要であるといえる。嗅覚検査で使用される検査器具として、T&TオルファタトメーターやSniffin'Sticksなどが挙げられる。これらを用いて嗅覚能力を測定する際に、上昇法や下降法などの様々な嗅覚測定手法を用いることが可能である。しかし、あるひとつの検査器具を用いて同一の嗅覚能力を測定する場合でも、用いる手法によって検査の結果が異なってしまうことがある。そこで本研究では、検知閾値に注目して測定手法の違いに伴う人間の嗅覚特性を調査する。