発達障害者が就労準備学習で学びにくい学習内容の把握に基づく雇用管理手法の検討

摘要

発達障害者が直面しうる就労上の課題のうち，就労準備に向けた学習を通しても効果が表れにくく，雇用段階で特に配慮が必要となりうる課題を調べるため，職業リハビリテーション従事者と教育従事者を対象に質問紙調査を行った。具体的には，地域で実践されている就労準備に関する学習機会の頻度とその有効性に対する評価を求めた。その結果，特に「他者の感情調整」は学習機会があっても効果が表れにくいと評価されていた。この結果は，発達障害者の雇用管理においては「他者の感情調整が難しい」という障害特性に特に配慮し，お互いの感情とその感情が喚起された背景を言葉で明確に伝えあう機会を定期的に確保する必要があることを示唆している。