歴史の中の統計学: 古典確率論の完成

摘要

18世紀には、当時の多くの優れた数学者たちによって、多くの確率論の問題が定式化され解かれた。それについてはトッドハンターの「確率論史」に詳しく紹介されている。その中で、自らも数多くの論文を発表するとともに、それらをまとめて体系化したのが、ラプラス（Pierre Simon de Laplace1749～1827年）である。彼は1749年、ノルマンディのボーモンという村に生まれた。彼の父は貧しい農夫、あるいはリンゴ酒職人であった。6歳のときに教会付属の学校に入り、16歳のときカーンにあったジェズイットの芸術学校に入った。19歳のとき（1768年）、当時名声の高かったダランベールへの紹介状を持ってパリに出た。最初、ダランベールに冷たくあしらわれたが、やがてラプラスの数学の才能を認めたダランベールの世話によって、彼は軍官学校で数学を教える地位を得た。一時失職したが、1783年陸軍士官学校の試験官の地位を獲得した彼は1770年代から確率論や天文学に関する論文を書き始め、1783年にはアカデミーの準会員、1785年にアカデミー会員となった。