長野県三市における景観計画および歴史的風致維持向上計画での歴史的景観資源の例示の実態 景観資源概念の再構築に関する試論 その２

摘要

景観計画および歴まち計画の内容に関する差異景観資源の具体的な例示方法が自治体によって異なる中で，資源の内容も景観計画と歴まち計画の間では，法の趣旨の違いもあり，共通のものは数尐ない．また，記載された景観資源の中で，指定もしくは登録文化財から引用・例示されたものは尐数（127 件中26 件）にとどまるものの，三市間を比較すると，例示への姿勢に差異が見られる．前稿に於いて，景観資源として非定常文化財（祭礼・民俗行事等）に着目する余地がある点を指摘したが，本稿では，さらに‘生活景’の概念を考え合わせた非定常な景観として‘イベント景’の概念を提示した．各自治体における景観計画および歴まち計画の策定～見直しの際には，文化財等の著名な景観資源のみならず‘イベント景’も加味することで各地域の特性が計画書に具体的に反映され，延いては地域の活性化や住民の帰属意識の向上を期待したい．