アウトソーシングが日本企業の雇用構造に及ぼす影響: 雇用ポートフォリオ編成メカニズムの観点から

摘要

本稿に与えられた使命は、アウトソーシングが日本企業の雇用構造（雇用ポートフォリオ）に及ぼす影響について、その編成メカニズムの観点から、考察することにある。なお詳しくは後述するが、本稿の言うアウトソーシングとは、国内企業への委託を指し、雇用ポートフォリオとは、「複数の雇用形態の組み合わせ」を意味する。具体的な分析に入る前に、アウトソーシングの定義を見ておく。冨浦(2014)は、オフショアリングとアウトソーシングの違いを説明する中で、それぞれを「……sourcing (調達・購買、特に市場で一般的に購入可能な汎用品ではなく、当該企業特有の特注品•サービスの委託•外注）が空間的に国境を越える場合にオフショアリング、所有(control)面で企業の境界を超える場合にアウトソーシングと呼ばれる.従って、アウトソーシングには国内他社への委託•外注(contracting out)が含まれる」（p.ⅵ)と定義する。この定義に従えば、アウトソーシングとは、国の境界ではなく、企業の境界が基準であり、国内外の企業に業務を委託するケースを指す。