地方人口回復の可能性: コーホート人口の地域変化からみる

摘要

日本人口の大都市圏への集中傾向は、基本的には明治期以来ずっと続いており、その流れが変化する兆候はまだ見出だせない。一方、地方の再生がまた唱えられるようになった。地方の再生の指標はいろいろ考えられるが、人口の維持•増加も重要なものであろう。地域別人口の変動をみる上で、出生コーホートの年齢別変化を比較すると、その特徴がよくわかる。ここでは、日本の出生コーホートでは歴史上最も大きな人口規模を持つ1946-50(昭和21-25)年出生コーホート（べビーブーム世代）以降のコーホート人口が、特に10-34歳層の実質的に地域の発展を担っていく若い人口層が、大都市圏と地方でどのように変化してきたのかをみる。その結果から、地方では、移動がないと仮定しても若い人口の回復は簡単ではないことを示したい。