ブドウ

摘要

ブドウはブドウ科のブドウ属の世界で最も広範囲に栽培されているつる性の果樹で，ヨーロッパブドウ(V.vanifera L.)とアメリカブドウ(V.labruscaa L.)に大別される。ヨーロッパブドウの栽培は5,000年以上前に黒海とカスピ海の南側の地域で始まり，ヨーロッパへ，あるいはアジアへ伝播された。アメリカブドウは北アメリカに分布する野生ブドウから改良されたもので，その栽培の歴史は200年足らずである。ヨーロッバブドウは乾燥した気候を好み，主として醸造用として改良され，発達してきた。果実は小粒で，果肉が柔らかくて果汁が多く，比較的甘味と酸味が強い。果実自身の香気は弱く，発酵•熟成後の香りが優れた品種が多い。アメリカブドウは湿潤な気候でも栽培できるが，特有の「狐臭」をもつため，上級のワインの製造には向かないとされている。果実の甘味は果糖とブドウ糖が半々で構成されており，酸味は酒石酸とリンゴ酸による。ビタミン類，ミネラル含量は，ほかのフルーツと比べて少ない。