吸着を利用した水環境保全技術の高度化に関する研究

摘要

筆者は，化学工学における分離操作のひとつである吸着を専門とする立場から，環境中の物質移動の機構の解明や制御，さらに持続可能なバイオマス利活用などについて研究を行ってきている。この度の受賞は，これらうち水環境の保全や改善のための技術に，吸着を「より上手に」利用するための研究を対象としたものと理解し，驚きと感謝の気持ちでいっぱいである。筆者が当該研究を始めたころには，すでに水環境，中でも水処理における吸着の基礎は解明され体系化されていた。したがって，たまたま新しい吸着剤と次々に巡り会う幸運に恵まれたことから，それら吸着剤の特長を最大限に生かす手法や技術の開発に多少の貢献ができ，この受賞に実ったのだと考えている。