アフリカ•サヘル地域における持続可能なサニテーションシステム

摘要

2050年の世界人口は約100億人になると推定されているが,この人口から排出されるし尿•排水をどのように扱うかの議論は進んでいない。地球上に多くのヒトが活動することとなると，排出物を扱うサニテーションは地域の公衆衛生•環境汚染と生態系管理に加え，物質循環•資源管理を左右する重要な要素となる。増加し続ける世界人口と人々の健康•環境負荷低減•食糧増産•資源管理の関係性の中で次世代のサニテーションのコンセプト構築と具体的な解決策を模索する研究活動は地球環境問題の解決に不可欠である。とくに，開発途上国においては，都市域（スラム等）における急速な人口増加が生じており，依然として5歳以下の死亡率が高く，貧困問題が深刻である。24億人が適切なサニテーションシステムを有していない，約9.5億人が野外で排泄をしている現状もある（2015年，国連レポート）。一方，日本をはじめとする先進国では，低経済成長•人口減少により下水道等の現状インフラ維持が難しくなる，との予想がある。開発途上国や人口減少と高齢化が進む国においてどのようなサニテーションシステムが適切なのか？どのようにして適切なサニテーションシステムを選定し，どのように導入すればよいか？これらの問に答えるための検討が引き続き必要と考える。