底層DOと透明度の変遷から見た大阪湾の水質評価

摘要

環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準のうち，生活環境の保全に関する環境基準について，化学的酸素要求量(COD),全窒素，全リン等，現在12項目が設定されている。さらに，近年の国民ニーズの多様化や社会情勢の変化にともない，環境基準項目の見直しが進められ，これまでの公害対策の側面が強い環境基準項目に加えて，国民の実感にあった新たな水質指標として底層溶存酸素量(底層DO)および沿岸透明度が検討されている。海域における底層DOによる類型指定では，生息段階，再生産段階における生物の貧酸素耐性から基準値を設ける方向で議論が進められており，基準値として4.0mg L~(-1), 3.0 mg L~(-1), 2.0 mg L~(-1)が検討されている。また，沿岸透明度では，海藻草類の生育や親水性の側面から目標値が議論されている。