水族館におけるクラゲ展示の取り組み

摘要

古事記の冒頭に「久羅下那洲多陀用幣琉（くらげなすだだよへる）」とある。古くからクラゲはよく知られた存在であつたのだ。同時に浮遊生物であるクラゲの本質に迫る素晴らしい文だ。クラゲとは体の90%以上がゼラチン質プランクトンの総称である。したがって，様々な生物をクラゲと呼んでいる。主に刺胞動物門と有櫛動物門を指すのだが，狭義で刺胞動物のことを言う。刺胞動物のミズクラゲは，ふわふわ漂いォスとメスとで受精卵を作る有性生殖世代（クラゲ世代）と岩などに付着して単独でクローンを作り増殖する無性生殖世代（ポリプ世代） を持ち世代交代をする生物である。このように，クラゲとは刺胞動物の一生における一時期を言いあらわす言葉でもあるのだ。刺胞動物のクラゲは毒を持ち刺すことでも知られている。夏の終わりを告げるのもクラゲだ。しかし，水族館で見るクラゲはとても優雅で美しく観る者を魅了する。水族館でのクラゲ展示の一端を紹介する。