セミナー企画部会　第64回セミナー報告

摘要

湖沼や河川などで採取した水の中に存在するDNAの分析技術の発展と応用により，生物のモニタリング手法に革新的変化が起こりつつある。それが環境DNAを用いた生物モニタリング手法である。環境省の「生物多様性総合評価報告書」においても，陸域における生物多様性が1950年代後半から大きく損なわれていることが報告されている。水辺環境においても生物多様性を効率的に保全するためには，河川管理者はまず環境を適切に監視することが重要となっている。その上で実現可能で有効な対策を取ることが求められている。どのようにァプローチすれば，環境DNA技術が，このような環境監視に有用な技術となりうるのか，また環境DNAを用いたモニタリングを行うにあたっての注意事項や課題は何であるのか，研究者のみならず，行政• NGO等の実務者からも関心が持たれてきている。昨年4月に水環境学会誌の特集で「水環境における環境DNAを用いた生物モニタリング」がテーマとして取り上げられたところ（Vol.41,No. 4),大きな反響が寄せられ，環境DNAについての関心の高さが示された。